フリーランスが払う税金って、所得税と何?全部でいくら?

フリーランスに成りたての方って、自分の税金はいくらになるんだろう?と気になって、次のような疑問を持つのではないかと思います。

  1. フリーランス収入いくらから税金を意識すべき?
  2. フリーランスが払う税金って、所得税と何?全部でいくら?
  3. フリーランスは税金用にいくら残しておくべき?

今回は、上記2.について解説していきます。他の疑問については、リンク先の解説記事を見てみてくださいね。

結論を先に言うと、所得税以外に、住民税、事業税がかかります。本記事では、それぞれの税金の計算方法と手続きを数値例をもとに解説します。

税金のことが頭の中で整理されていると、お金に対する漠然とした不安がなくなります。そして、賢いお金の使い方を日々意識するようになり、自然と必要な貯金もできるようになります。

ちなみに私は本業は公認会計士をやっています。
現在は海外在住のため日本で税理士登録はしていませんが、日本では税務業務の経験がありますので、記事の信頼性という意味ではご安心ください。

所得税の計算方法

では、数値例を使って所得税がどのくらいかかるのかを見ていきましょう。まずは計算の前提を次の通りとしてみます。

  • 2020年のフリーランス収入が350万円だった。
  • 給与所得などの他の所得はゼロ。
  • 経費が50万円かかった。
  • 青色申告特別控除は適用しないことにした。
  • 社会保険料(国民健康保険と国民年金)として年40万円払ったと仮定。
  • 配偶者控除なし。

この場合、課税所得は、350万円 - 50万円 -40万円- 48万円 (基礎控除)= 212万円となります。

続いて所得税の税率は、国税庁のウェブサイトの速算表より以下の通り。所得の階層ごとに異なる税率が適用される「累進課税」方式になっています。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

課税所得が212万円ですので、「195万円を超え 330万円以下」の欄を見ます。

すると、税率は10%で、97,500円を控除できますので、2,120,000円 × 10% - 97,500円 = 114,500円が所得税の金額となります。

どうでしょう、意外と簡単に計算できましたね。

もう少し詳しく説明すると、所得税は累進課税ですので、所得212万円のうち195万円の部分には5%の税率、残りの17万円の部分には10%の税率が適用されます。なので、195万円 + 5% +17万円 × 10% = 97,500円 + 17,000円 = 114,500円と計算でき、上記の速算表による計算と同じ結果になります。

所得税の申告の方法

所得税の確定申告は、翌年3月15日までに実施しなければなりません。

確定申告の方法の詳細については、今後別記事で解説します。

フリーランスは個人事業主ですが、個人事業主が事業所得の確定申告をするには、事前に開業届を提出しておく必要があります。

開業届の提出は、会計ソフトを使うととても簡単にできます。

住民税の計算方法

住民税は、所得割と均等割の2つの部分から成ります。

住民税は、住んでいる場所によって税率が違います。ただし、標準的な税率として「標準税率」というものが定められていますので、ここでは標準税率に基づき計算を行います。

標準税率は、所得割が10%、均等割が5,000円です。

住民税も、所得税に類似した方法で所得を計算します。ただし、基礎控除の金額は異なり、33万円です。

  • 所得の計算: 350万円 - 50万円 -40万円- 33万円 (基礎控除)= 227万円
  • 所得割の税額: 227万円 × 10% = 22.7万円
  • 均等割の税額: 5,000円
  • 住民税の金額: 227,000円 + 5,000円 = 232,000円

住民税も意外と簡単に計算できましたね。

住民税の申告の方法

所得税の確定申告書を提出していれば、住民税の申告書を提出する必要はありません。

というのも、所得税の確定申告書の中に「住民税・事業税に関する事項」という欄があり、ここに必要事項を記載して提出しておけば、各地方自治体が住民税の額を計算して、納税者に通知するためです。

住民税の通知は、翌年の6月くらいに受け取ることになります。

支払いは、1年分の一括払いか、年4回の分割払いを選択可能です。

一括払いの場合は6月末に払いますが、分割払いの場合は、6月末、8月末、10月末、翌年1月末の4回に分けて払います。

支払うタイミングが少し遅いので、納税のためのお金を残しておくように留意しましょう。

事業税の計算方法

事業税は、年間の所得の金額が290万円以上の場合に発生します。

また、事業税の税率は3%から5%ですが、以下の通り、多くの事業で税率が5%になっています。

  • 第1種事業(税率5%)=37業種(物品販売業、保険業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、運送業、運送取扱業、船舶碇繋(せんぱくていけい)場業、倉庫業、駐車場業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業、飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、両替業、公衆浴場業(むし風呂等)、演劇興行業、遊技場業、遊覧所業、商品取引業、不動産売買業、広告業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業)
  • 第2種事業(税率4%)=3業種(畜産業、水産業、薪炭製造業)
  • 第3種事業(税率5%)=28業種(医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、理容業、美容業、クリーニング業、公衆浴場業(銭湯)、歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、土地家屋調査士業、海事代理士業、印刷製版業)
  • 第3種事業(税率3%)=2業種(あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復、その他の医業に類する事業)

上記の法定事業のいずれにも該当しない場合は、事業税はかかりません。

たとえば、プログラマーやエンジニアは上記のいずれにも該当しませんが、請負契約の場合は請負業に該当すると考えられます。

Webライターなどの仕事も同様に、仕事の形態によって、上記のいずれかに該当する可能性があります。

したがって、事業税を払う必要があるかどうかは、そんなに簡単には判断できませんので、税理士や周囲の先輩など信頼できる方に相談するのがよいでしょう。

今回は税率5%の法定業種に該当するとして、上の数値例で計算します。

年収350万円で経費50万円でしたので、所得が290万円を超えており、事業税が課税されます。

ただし、この290万円は、個人事業主控除として引くことができます。

そのため、(350万円-50万円-290万円) × 5% = 5,000円が事業税の金額になります。

事業税の申告の方法

住民税と同様、所得税の確定申告書を提出していれば、事業税の申告書を提出する必要はありません。

所得税の確定申告書の中に「住民税・事業税に関する事項」という欄があり、ここに必要事項を記載して提出しておけば、各地方自治体が住民税の額を計算して、納税者に通知するためです。

個人事業税の納付期限は、翌年の8月末と11月末であり、年間の税額を2回の分割払いで納付することになります。

なお、税額が10,000円以下になる場合は、8月末に一括納付する必要があります。

まとめ

今回の例(収入350万円、経費50万円などの前提)では、所得税114,500円、住民税232,000円、事業税5,000円でしたので、計351,500円になりました。

3つ合わせると、結構な金額になりますね。

このくらいの所得水準ですと、社会保険料(国民健康保険と国民年金)も年40万円くらいになりますので、税金と合わせると75万円くらいになります。

いかがでしたでしょうか。計算の前提によって結果は異なりますが、大まかな計算方法と、金額感の目安だけでも伝わったのではないかと思います。