「フリーランスになったら、税金に関して何をする必要があるの?」
「税金で損するのはイヤ!でも何に気をつけたらいいの?」
フリーランスになると、サラリーマン時代と違って自分で確定申告しないといけません。
それに、税金の知識がないと税金を余計に払うことになりかねません。
ゆるり会計士@海外在住
私は公認会計士で、現在は海外在住ですが、日本と海外で10年以上税務業務をクライアントに提供してきました。
- 早めにやっておくべきこと: 開業届と青色申告承認申請書の提出
- 日常的にやっていくこと: 帳簿の作成(会計ソフトで自動化できます)
- 年に1回やること: 確定申告
本記事を読むと、次のようなメリットがあります。
- 税金に関してやるべきことが明確になる。
- 税金に関する漠然とした不安が解消する。
- 所得税を払いすぎて損しないための基本知識が身につく。
目次
早めにやっておくべきこと: 開業届と青色申告承認申請書の提出
フリーランスになったらまずやっておくべきことは、以下の書類を税務署に提出すること。
- 開業届
- 所得税の青色申告承認申請書
これにより、青色申告のメリットを享受できるようになります。
ご自身の最寄りの税務署がわからない方は、国税庁のサイトで確認できます。
開業届の提出
開業届は、開業後1ヶ月以内に提出するルールになっています。
ただ罰則がないこともあり、多少提出が遅れても問題にはなりません。
実際には、青色申告を行うためには開業届の提出も必要なため、青色申告承認申請書と同時に提出するのが一般的です。
ゆるり会計士@海外在住
開業届には「屋号」を記入する欄があり、これにより、開業届を提出すると屋号が手に入ります。
屋号とは、自分の個人事業の名前のことで、会社であれば「社名」に相当するものです。
屋号を持つと、屋号名義の銀行口座やクレジットカードを作れます。
屋号名義の銀行口座やクレジットカードを作ると、次のようなメリットがあります。
- 屋号を利用でき、社会的信用につながる。
- プライベートと仕事でお金を分けて管理することができ、後の確定申告の際の手間も省ける。
逆に、銀行口座やクレジットカードがプライベート用ビジネス用に分かれていないと、次のような問題が発生します。
- 事業に関係する収入や経費が分離されておらず、仕訳作業が非常も煩雑になる。
- 税務調査が入れば、プライベート用を含めて、通帳や口座を見られてしまう。
なので、口座は、あらかじめ事業用とプライベートに分けて管理したほうがいいです。
ゆるり会計士@海外在住
失業給付を受け取る条件の1つに、「本人に再就職する意思と能力があること」というのがあります。
開業届を出しているということは「再就職する意思がない」ことの表れですので、本来は失業給付を受けられないことになります。
青色申告承認申請書の提出
開業届以上に重要なのが、青色申告承認申請書です。
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 30万円未満の少額減価償却資産の特例
- 純損失の繰越しと繰戻し
上記のうち、最も広く使われているのは、①の青色申告特別控除です。
青色申告特別控除を使えると、事業所得から最大65万円を引くことができ、その分だけ課税所得を減らすことができます。
所得税の最高税率が20%の方であれば、以下の通り、約20万円の節税ができることになります。
手元に残るお金が約20万円増えるわけですから、青色申告特別控除を使わない手はないですよね。
所得税: 65万円×20%*=13万円
住民税: 65万円×10%=6.5万円
節税額合計: 13万円+6.5万円=19.5万円
*給与収入500万円の場合、副業の雑所得の増減部分に対する所得税率は20%。国税庁の税率表を参照。
青色申告を行う場合、初めて青色申告をする年の3月15日まで(その年に新たに事業を開始した場合は、事業開始から2カ月以内)に、開業届と青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しなければなりません。
「開業freee」を使うと、開業届と青色申告承認申請書をあわせて無料で作成できます。
ゆるり会計士@海外在住
日常的にやっていくこと: 帳簿の作成(クラウド型会計ソフトで自動化可能)
青色申告を行うには、開業後、以下のような書類を作成する必要があります。
- 複式簿記の方法で記帳して作成した仕訳帳
- 総勘定元帳、現金出納帳、固定資産台帳などの帳簿を作成/保管する
- 青色申告決算書(貸借対照表、損益計算書)を、確定申告書の添付書類として作成する
相談者
ゆるり会計士@海外在住
まず、「1. 複式簿記の方法で記帳を行う」というのは、実際の取引(例: 文房具を買う)をひとつひとつ記録に残すことです。
続いて「2. 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、固定資産台帳などの帳簿を作成/保管する」の意味は、ひとつひとつの記録を「仕訳帳」などに集計して、別の見やすい形にまとめることになります。
「3. 青色申告決算書(貸借対照表、損益計算書)を、確定申告書の添付書類として作成する」は、2.で集計したデータをもとに、1年間の個人事業の財政状態や経営成績を所定の形式で表すことをいいます。
実は、このあたりはクラウド型会計ソフトを使えばかなり簡単に処理できます。
ゆるり会計士@海外在住
- スマホのカメラ機能でレシートなどの支出のデータを簡単に取り込める
- 銀行口座やクレジットカードを連携しておけば、自動的に事業に関連する収支を取り込める
- 取り込んだデータは、会計ソフト(AI)の提案に従えば、ワンクリックで簡単に記帳できる
- 記帳した一つ一つの取引記録に基づき、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿が自動的に作成される。
上記のうち1から3が、クラウド型会計ソフトならではの強みです。
従来は、レシートや銀行取引明細を見て、自分でもれなく入力して記録を残す必要がありました。
また、記帳するときには仕訳の勘定科目名も自分で考える必要がありました。
クラウド型会計ソフトであれば、これらの作業がほぼ自動で実行できますので、ラクで簡単であることに加え、ミスが起きる可能性も減らすことができます。
実際に使った人の口コミを見ると、思ったより簡単で驚いたという声がよく聞かれます。
クラウド型会計ソフトの実際の利用の場面の画像は、別記事で紹介していきます。
ゆるり会計士@海外在住
なお、レシートなど紙ベースの書類は、データを取り込んだ後も原則として7年間保存しておく必要があるので、注意してください。
電子帳簿保存法にしたがった電子保存も可能になっていますが、一般のフリーランスの方は、そこまでやらなくても良いと思います。
各会計ソフトの特徴は次のとおりです(以下はすべて税抜価格)。それぞれの詳しい特徴や違いは、別記事で解説していきます。
1. freeeのスタータープラン
- とにかく、一番使いやすい!少しだけ高いですが、機能や効率重視で会計ソフトを選びたい方むけ。
- 料金は、月1,180円(年一括なら11,760円)ですが、登録すれば最初の30日間は無料なので、試しに使ってみてください。30日過ぎても自動課金されるわけではないので、安心です。
2. マネーフォワードクラウド
- 低価格プランでも給与計算や社会保険、経費精算などの機能がついていて、これらを必要とする方(=人を雇っている方)にはかなりお得だと思います。
- そうでない方にとっては、使わない機能も画面にたくさん出てくるので、freeeの方が使い始めやすいです。
- 金Googleなくて気にも少しお金がかかっても、機能重視で会計ソフトを選びたい方むけ。
- フリーランスの方むけのパーソナルミニプランは、月980円(年一括なら9,600円)。
- 年間の課税売上が1,000万円以上で消費税課税事業者の場合は、月1,280円(年一括なら11,760円)のパーソナルプランになります。
- ひとまずは、無料で使い始めるのもOK。確定申告はできないですが、年間50仕訳までは無料で使えます。確定申告が近づくか、50仕訳を超える時点で有料プランに切り替えればよいでしょう。
3. やよい
- インストール型会計ソフトの弥生会計から派生したクラウド型の会計ソフト。
- クラウド型特化の企業ではなく、使い勝手はやや劣る気がしますが、過去の実績から安心感があります。
- 青色申告の料金プランは、年8,000円と安め。
- 有料プランを当初1年は無料で使えるので、無料プランの充実度は一番です。
ゆるり会計士@海外在住
年に一回やるべきこと: 確定申告
翌年の2月16日から3月15日までに、所得税の確定申告と納付をしなければなりません。
会計ソフトを使っている場合、それまでに取り込んだ収益や費用のデータをもとに申告ができるので、とても簡単です。
確定申告のやり方の詳細は別記事で説明しますが、会計ソフトで一年間の取引の記録をしっかりと残していれば、あとは情報を加工するだけ。簡単に確定申告ができます。
フリーランスの方は、所得税以外に、住民税の納税も必要です。事業税、消費税も、一定の場合には申告が必要になります。
- 所得税: 必須
- 住民税: 必須
- 事業税: 課税事業の所得が290万円以上あれば申告が必要
- 消費税: 課税売上が年1,000万円を超えたら、その後の年度に申告が必要
住民税については、確定申告書の中に「住民税に関する事項」という欄があります。
ここを記入すれば、実質的に住民税の申告もしたことになり、その他の手続きは不要です。
なお、住民税は後払いなので、確定申告時点では納付せず、その後納付書を受領してから納付します。
フリーランスの方が所得税以外に知るべき税金である「住民税、個人事業税、消費税」については、以下の記事をご参照ください。