- 「フリーランスになったら屋号を持ったほうがいいの?」
- 「屋号を持つメリットは?」
- 「どういう風に屋号を決めればいいの?いい例はある?」
- 「屋号を登録する手続は?開業届に記載すればOK?」
「屋号」って、自分で事業をしない限りなじみがないので、色々と疑問が湧いてきますよね。
私は公認会計士で、現在は海外在住ですが、日本と海外で10年以上税務業務をクライアントに提供してきました。
ゆるり会計士@海外在住
今回は屋号についての疑問に答えるべく、記事を書くことにしました。
魅力的な屋号があると関心も集まりやすいので、最低限まずは屋号について知っておきましょう。
自分の屋号を決めたら、開業届や確定申告書にも記載して使っていきましょう。
目次
屋号の意味と必要性
屋号の意味
屋号というのは、個人の場合の「会社名」のようなものです。
会社は生まれながらにして事業を行う存在ですので、事業主体としての「会社名」を1つだけ持ちます。
それに対して個人が事業を始めると、あなたという1人の存在の中に、プライベートの顔と、事業主の顔が生まれます。
事業主としてもプライベートで使ってきた名前を使うことはできますが、プライベートと切り分けて、事業主としての別個の名前を持つこともできます。
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屋号について、国税庁のサイトでは、以下のように解説されています。
屋号又は雅号とは、個人事業者の方が使用する商業上の名のことです。
よって、個人事業者の方においては、商店名等を入力してください。
雅号とは、著述家、画家、書家、芸能関係者などが本名以外につける別名のことです。
屋号は必須ではないがメリットがあれば使おう
個人で事業を行う場合に屋号が必須かというと、そうではありません。
つまりフリーランスの方は本名で事業を行うことができ、必ずしも屋号を持つ必要はないのです。
開業届や確定申告書にも屋号を記載する欄がありますが、空欄で提出することもできます。
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フリーランスが屋号を持つことの3つのメリット
事業内容を理解してもらやすい
自分の事業内容に合った屋号を持つと、名刺やウェブサイトでも屋号を示すことができ、あなたが何の事業をやっているか一目で分かります。
差別化ができ、多くの人の目に留まりやすくなります。
また、自分の事業の特徴や自分の強みを魅力的に表現できると、相手の印象に残り、あなたを選んでもらえる可能性も高くなります。
屋号がブランディングに使えるということですね。
仕事を受注できるかどうかにあたっては、あなたの経験やスキルが重要なのは言うまでもないですが、そもそもあなたの存在が目に留まらないと、受注することはできません。
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相手企業や社会全般から信用を得やすい
屋号を持つと、事業を行っていることが明確に示され、社会的な信用度が上がるというメリットもあります。
特に取引相手が企業の場合、あなたが屋号を持っていると、(相手が新しい業種か古い業種かにもよりますが)相手もあなたを取引相手として選びやすくなります。
また、たとえば自分の商品やサービスをウェブサイトで紹介するときも、屋号が使われていた方が、普通のビジネスとして販売していることが明瞭なので、見る側も自然と信頼性を感じることができます。
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さらに、屋号を使って銀行口座を持てつことができますが、この場合、屋号がお客からの振込先になります。
このような支払いの場面を想像しても、相手企業からすると屋号を持った個人事業主が相手のほうが取引しやすいことがわかりますね。
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過去の実績を継承して法人化しやすい
フリーランスとしての事業がうまくいくと、信用や節税などいろいろな観点から法人化を検討するようになります。
この場合、今まで使ってきた愛着のある屋号をそのまま法人名に使えると、これまで積み上げて来た実績や信頼を引き続き活用できるので、有利です。
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ちなみに屋号のデメリットは?
屋号のデメリットは、、、特にないです!
ただし一度決めると、後で変えづらくなる可能性があるので、その点だけ注意しましょう。
屋号の決め方と屋号の例
分かりやすく、覚えやすい屋号に
屋号の決め方にルールは有りませんが、分かりやすく認知されやすい名前にするのが一番の基本ですね。
たとえばWeb系の仕事であれば、以下のような屋号が考えられます。
- ○○オフィス
- ○○事務所
- ○○デザイン
- ○○ラボ
- ○○企画
- ○○スタジオ
〇〇の部分には、自分の氏名の全部か一部を入れたり、それに例えば「Web」という単語をさらに挟んだりとか、色々なバリエーションがあり得ます。
同じ屋号や法人名がないかチェックし、可能な限り避ける
自分が考えた屋号が、既に使われていることはよくあります。
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また税務署に登録している法人名は、国税庁のサイトで確認することが出来ます。
同一の名称が屋号または会社名として既に使われていたからといって、必ずしもそれをあなたが自分の屋号として使えないわけではないです。
ただその名称がもし商標登録されていれば、権利侵害になる可能性が高いので、使用を避けるべきです。
商標登録がされているかについては、特許情報プラットフォームで検索することが出来ます。
また、商標登録されていなかったとしても、すでに同じ屋号や会社名がある場合、特に業種や地域などが近いほどトラブルになる可能性があるので、使用は控えましょう。
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会社と誤認させるような屋号は不可
◯◯株式会社など、会社と誤認させるような屋号は禁止されています。
また、◯◯銀行など特定の規制業種と誤認させる屋号も使うことはできません。
商号の登記に使える文字のみを使おう
商号というのは会社名を登記したものです。
法務省のサイトによると、ひらがな、カタカナ、漢字に加え、以下の符号を商号の登記に用いることができます。
- ローマ字(大文字及び小文字)
- アラビヤ数字
- 記号「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点)
アラビヤ数字(1, 2, 3, 4…)がOKというのは、逆に言えばローマ数字(I, II, III, IV…)は使えないということになります。
記号についても上記のものしか使えないので、かなり使用が制限されていますね。
以上はあくまで商号、つまり会社に関する規制ですので、フリーランスの屋号には直接は関係ありません。
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屋号を登録する手続き
屋号は開業届で申告。毎年の確定申告でも記載
屋号には登録制度がなく、実務上は、所得税の開業届の中に記載して届け出ることになります。
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開業届に屋号をどう記載するかについては、以下の記事をご参照ください。
>> 開業届の書き方・記載例 | フリーランスや副業の方むけに会計士が解説
開業届は、開業freeeというWebサービスを使うと簡単に作成・提出できます。
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開業freeeの使い方については別記事にまとめました。
また、フリーランスになると毎年提出する確定申告書にも「屋号」の欄があるので、ここに記載しましょう。
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屋号を法的に登記することも可能(⇦基本的に不要です)
開業届や確定申告書以外に、商号登記や商標登録を行えば、自分の屋号が法的に認められ、権利も主張できるようになります。
ただし商号登記は、同一住所での同一商号の使用を禁止するのみです。
なので、住所さえ違えば同じ商号を別の人や会社が使うことができてしまいます。
実質的なメリットはないと言って差し支えないでしょう。
他方、法務局への商号登記には登録免許税が3万円かかります。
したがって、多くのフリーランスの方にとっては、よほどのこだわりがない限り、商号登記は不要だと思います。
これに対して、商標登録は特許庁に申請するものです。
登録できれば日本全国で拘束力を持ちますが、弁理士などの専門家に依頼しないと登録の手続きが大変で、さらに高い費用が発生します。
また、そもそもの話として、商標というのは商品やサービスに付ける名前のことであって、屋号そのものは商標ではありません。
自分の商品やサービスの名称を守りたいという人でない限り、商標登録は意味がありません。
まとめ
以上、フリーランスが知っておきたい屋号の基礎知識についてご紹介しました。
屋号を持つメリットや必要な手続きが分かりましたでしょうか。
開業届を提出しようとして屋号について考え始めた方は、この機に屋号を使うかどうか、使うならどんな屋号にするかを考えてみてください。
>> 公式開業freee